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立原道造記念館の休館に寄す

 投稿者:やす  投稿日:2010年 7月16日(金)08時02分39秒
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 立原道造記念館が今秋にも休館するさうです。さきに資産家の理事長が亡くなり財政的な後ろ楯を失った後、このたびまた館のシンボルであった堀多恵子氏を喪ったことが、一大痛惜事であったとともに、もはや赤字経営に見切りをつける良い潮時と判断されたのは、一面やむをえぬことのやうに思はれます。

 ここが公の施設でないことは特筆に値すべきことでした。企画から運営まで一手に担ってこられた館長代理、宮本則子氏のボランティア精神に支へられて成り立ってゐた、私立の文学館です。私もそもそも出会ひのはじまりは、古本屋の目録から注文した2冊の詩集を脅かされてとりあげられた「事件」にあったのですが(過去ログ参照)、この十年余り、たびたび催し物の御案内や図録を頂いたり、展示の裏側も間近に拝見させて頂き、四季派詩人を主題に据える唯一の文学館として信頼もしてをりました。何の手落ちなく購入した詩集を私が古書店に返品したのも、氏が館の名前を出して説得されたからで、開館間もない頃のことでしたが、ここが社会的権威を保証する公器の文学館であることを信じてをりました。

 館の広報サイト上では、掲載画像の解像度を故意に荒くしてゐることを聞きましたが、来館を念頭に置いた措置だったことでありませう。しかしながら経営難~休館の話を聞けば複雑な気持です。今後は非営利の顕彰趣旨にたちかへり、貴重な資料のアーカイブ画像公開にもひろく協力されることを希望してやみません。さしづめ本サイト関連で申し上げるなら、館報第48号に紹介された「田中克己宛立原道造書簡」などは、この先どんな風に「お蔵入り」してしまふのか心配です。田中先生の教へ子だった方からの寄贈品の由ですが、私は現物の拝見はおろか、寄贈の事実も知らせて頂けませんでした。ホームページをチェックしなかった自分が悪いのですが、先日遅まきながらこの存在を知り、メールで問合せたところ、館報に掲載された封筒の写真さへ著作権を以て拙掲示板での紹介を丁重に断られた次第。けだし管理人の不徳が齎した結果なのでせうが、残念でなりません。

 私設ホームページである本サイトも、扱ふ「ブツ」といっては画像とテキストだけでありますが、多くの人々から頂いた善意の情報の集積は、某かの形で次代に受け渡してゆく必要がありませう。他人事に思はれぬ気もし、今後のなりゆきを注視したいと思ひます。

 
 
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