teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]

新着順:41/779 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

『郷土作家研究』第37号

 投稿者:やす  投稿日:2015年12月13日(日)21時15分43秒
  通報
   青森の相馬明文様より『郷土作家研究』第37号をお送りいただきました。

 なかで翻刻されてゐる小説「白い本屋」ですが、詩人の小山正孝が昭和11年、弘前高等学校休学中に書きまくってゐた短編小説のひとつで、さきにまとめられた小説集『稚児ケ淵』には収録が見送られた一篇です。

 しかしながらこの小説、理想を逐ふべきか社会人として生くべきか、小説家志望の書店の小僧を主人公にして、人生の選択を迫りつつ、その悩みに作者自身が重ねられ、救済が同時に託されてゐるといった按配は、(さきごろ『詩歌療法』を読んだので殊更さう思ふわけですが)、出来は措いても詩人の精神史上、重要な作品なのではといふ気もしないではありません。

 結局彼が小説家としての道を断念してしまったのも、ここに出てくる新助のやうな、まことに心強い先輩知己が実生活上で強く肩を押してくれることがなかったからかもしれませんし、或ひは自身が責を負ふべき結婚の結果、片がついたはずの煩悶がふたたび再燃し、家庭を守るべき方向へと実際上の彼を導いていったからなのかもしれません。

 程度は違へど辛うじて私も文学に扶けられて生きてをります。相馬様にもなにとぞ御静養専一に、ここにても御礼かたがた御健筆をお祈り申しあげます。
 ありがたうございました。

『郷土作家研究』 第37号 平成27年10月23日発行(隔年刊)
青森県郷土作家研究会(弘前市新城字平岡160-807 竹浪様方) A5版 76p 1000円
 
 
》記事一覧表示

新着順:41/779 《前のページ | 次のページ》
/779